「再開発の難しい点」で、難易度が高い点の1つに、「再開発で作られた施設が、地域のニーズを満たすか」を挙げました。
それではどのような機能を持った施設であれば地域のニーズを満たすことが可能であるか、検討してみます。
■商業
耐久消費財や趣味品といった買回り品を中心とした買い物の場として、商業施設を新たに構築します。
中心市街地の再開発では昔から、比較的多く実施されました。
しかし現代では、ショッピングモールのような大規模商業施設が郊外に存在し、自動車で買い物に行くスタイルが浸透しています。
このため、中心市街地に設置する単体または複数の商業施設で、郊外の大規模商業施設に匹敵するような魅力を持たせることは、難しくなっています。
例えば、辻堂のテラスモール湘南のような郊外のショッピングモールと同等かそれ以上の商業力や魅力を持った施設を用意できるのであれば、その限りではありません。
ですが、平塚駅前で検討されている再開発でそれほどの規模を期待するのは、現実的に難しいと思われます。
■住居
駅周辺の再開発で高層部がマンションになることは珍しくなく、恐らく平塚でもそういったケースは出てくると想像されます。
ただ、平塚駅周辺ではここ数年、マンションの建築ラッシュが発生しており、住居が増えることが単純に喜ばしいものになるかは不透明です。
また、駅前エリアの人口は増加することになるものの、それが地域の魅力向上に繋がるかどうかは、確実ではありません。
■業務
駅周辺にオフィススペースを増やす取り組みは、以前より多くなっている印象です。
しかし、平塚駅前である程度まとまったオフィス需要が存在するのかは、不明です。
駅前エリアの昼間人口は増えますが、地域の魅力向上にどの程度の影響を及ぼすのかは、実際にやってみなければ分からない部分が多いです。
■文化
採算性などから、民間での取り組みは期待しづらいです。
平塚市や神奈川県などで実施されれば面白いものの、このご時世では過度な期待はできません。
■娯楽
エンタメに特化した施設を作るなどといったやり方は、あるのかも知れません。
例えば、東急歌舞伎町タワーのような施設であれば、敷地面積がそれほど大きくなかったとしても、商業などに比べて競争力を持つことができる可能性があります。
しかし、大規模ターミナル駅ではない平塚駅前にそのような需要が存在するかというと、かなり怪しい印象です。
■宿泊
一棟丸ごとホテルにするのではなく、一部フロアに宿泊機能を持たせるといったやり方は、近年多くなっているように思います。
これも夜間人口と一部昼間人口を増やすことになりますが、地域の魅力向上にどの程度の影響を及ぼすかは不明です。
また、そこまでの宿泊需要が存在するか、今後増やせるのかは、分かりません。
■教育
文化機能などと同様に面白いとは思うものの、実現のハードルは高そうです。
ただ、サテライトキャンパスのような形では、少し期待が持てます。
■インキュベーション
必ずしも再開発で作られた施設でなくてよいのですが、インキュベーション機能を持たせるということは、現代的であり今後に繋がる取り組みであると考えます。
問題は、公的機関でも民間機関でも、主体をどうするかといったところでしょうか。
実際には、この中の1つの機能ではなく、複数の機能が組み合わされたものになる可能性の方が高いでしょうか。
どういった機能を持たせれば魅力的な地域が実現できるのか、十分な検討が望まれます。